不動産投資 東京の永遠のテーマ
可能性としてありえる。
幸い、G・K社長はいなかった。
この際だから、ある程度の秘密を明かして、その代わり内緒にしてほしい、とお願いする戦法に切り換えるか。
ここが指揮官の判断の見せどころであるけれど、しかし、そんなシーンを想像するほど悠長な場合ではない。
私の指揮官は迷っていた。
「まあ、若いんだから、良いのよぉ、そういうの」「あ、ああ、そうですか。
うんと、何のことか、まだわかっていないような気もしますが」「受け応えの言葉数が多いのよ」「え、そ、そうですか?」「二倍くらい多いわよ」完全に見抜かれているな。
うーん、どうしよう。
とにかく、喉にお茶を流し込もう。
「そりやあ、だって…」。
振り返ってSさんを見ると、魔女のような笑みを浮かべている。
ヤモリとかを鍋の中に入れて掻き回しているときの魔女だ。
そのあと、Sさんは自分の仕事に戻ったので、危険な話はここで打ち切りになった。
しかし、私は少なくとも十五分くらいは、仕事が手につかなかった。
キーボードの不調なリズムをSさんに聞かれているわけで、さらに動揺を悟られそうな気がした。
怖ろしい。
幸い、外に出る仕事があった。
客と約束をしていたのだ。
喉が渇いていたのだ。
余計なことを言って、墓穴を掘らないようにしよう。
「いつ結婚するの?」不覚にも、私はここでお茶を吹き出してしまった。
お茶がいつもよりも熱かったのだ。
しまった。
これもSさんの策略の内にちがいない。
「こういうことって、早い方が良いんじゃない?」「え、どうしてですか?」ティッシュを出して、私はデスクの上を拭った。
特に、キーボード場だった。
書類を整え、いつもどおりの口調で「いってきます」と告げて、私は店を出た。
途中で一度振り返ると、ガラスの中でSさんが笑顔で手をふっていた。
なにかにつけ、とにかくすべて見抜かれている気がする。
女性は恐い。
駐車場まで歩き、車の運転席に座ったところで、携帯電話が鳴った。
出てみると、客からで、三十分ほどあとにしてほしい、という話だった。
店に戻るのが普通であるが、方向も同じなので、私は車を出し、自分の家に向かうことにした。
なんとなく店には戻りたくなかったのかもしれない。
家といっても、私の持ち家ではなく、単なる賃貸の部屋だ。
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